何のために水路を遡上するのか?餌か、新鮮な水か、遠い記憶か
倉敷市内のほぼ全ての用水路には酒津の水門からの水が流れている。
全国屈指の豊かさを誇る水路群はここから供給される新鮮な水が支えている。
初夏、水の供給量が増えると、水路に下流の倉敷川などからタナゴたちが遡上する。
大正時代から続く、人とタナゴの共存がここにある。
そんな水路群で気になっていた二つの水路の調査釣行。まずは「ブルー水路」だ。
今年3回目のブルー水路。初回はカネヒラが良く釣れ、前回はシロヒレタビラだけが釣れた。
今回カネヒラの群れは戻っているだろうか?そんなことを思いながらの釣行。
もう晩夏だけあってシロヒレタビラがそこそこ釣れてくる。
この水路では少数派のヤリタナゴもタイリクバラタナゴも釣れる。
しかし今回の主役はやはりカネヒラだった。ほぼ入れ食い状態で喰らい付いてきた。
一時間ちょっとでバケツ一杯のタナゴが釣れ上がった。圧倒的にカネヒラが多い。
水流に乗せて適当に黄身練りを流すだけの作業。それでいとも簡単にカネヒラが釣れる。
今までのブルー水路では最高レベルのポテンシャルだった。なんという幸運。
ブルー水路は今年も安泰だ。冬まで楽しめそう。また訪れてみよう。
続いての水路は「カネヒラ水路」。実はこの水路だけが昨年比で魚影が半減している。
こちらの水路も今年3回目。やはり魚影は少ない。まさに半減といった印象。
しかし竿をだすとほぼ入れ食い状態で釣れる。カネヒラとヤリタナゴが釣れまくる。
それでもやはり魚影は半減している。外道を含めてだ。何が原因なのか考えてみた。
倉敷川などから遡上する途中、どこかの重要な水門が閉まったままになっている説。
今年の倉敷川が栄養豊富で遡上する必要がない説。昨年私が釣り過ぎた説。
どれも決定打に欠ける。実はもう一つ説がある。これが正解なのかもしれない。
遡上途中のどこかの水路で、水路を塞ぐ様に横たわって涼をとるおばさんがいる説。
今年は猛暑続きなので水路に横たわって涼んでいる人も多かろう。これが原因だ。
二時間半ほど釣ってみた。魚影は確かに半減している。しかし150匹ほど釣れてしまった。
これが高梁川水系水路群のポテンシャルというべきか。
一人の釣り人が入れ食い状態で釣れる程度の数はちゃんと遡上しているというべきか。
何度も言うが、昨年比で魚影が半減しているのは事実だ。再度の調査が必要だろう。
季節は流れ、もう秋になる。次第に涼しくなるだろう。
そうなれば今水路を塞いでいるおばさんも、もう用水路で涼む必要もなくなる。
大量のヤリタナゴが遡上してくるのはその時だ。
「カネヒラ水路」と称されているが、秋の最大勢力はヤリタナゴ。
魚種豊富な高梁川水系水路群だが、そのポテンシャルの底上げを担うのはヤリタナゴだ。
その時を待ちたい。