笹ヶ瀬川でタナゴ釣り、のちオカメ釣り
間違って夏が転がり込んできたかのような暑さだった。バイクで風をきって走る。
笹ヶ瀬川の調査にいく予定だ。お初のポイントを探しながら川沿いを巡る。
物凄い数のバス釣りの人で賑わっていた。さすがバス釣りの聖地だけある。
確認できただけで40人ほど。いくらなんでも賑わいすぎ。
川沿いに止めた車に釣り具をしまっている釣り人を発見。話しかけてみる。
運の良いことに偶然にも「笹ヶ瀬川の主」とおぼしき大ベテランの老人だった。
「何が釣れるんですか?」と聞くと、「フナよ。ここらはフナじゃけん」とおっしゃる。
「笹ヶ瀬川はバス釣りで有名だとネットで見ましたけど」と言うと、
「フナよ。フナじゃ。フナしか釣れんよ。雑誌にバスじゃゆうて書いてあったん?」
と納得いかない様子。さらに、「バスなんか釣れたん見たことないよ」と譲らない。
そして、釣ったフナの写真をいろいろと私に見せてくる。
しかし、周りを見回せばそこらじゅうで釣り人がルアーを飛ばしている。
面倒なので話を替え、「私はタナゴを釣りに来たんですけど、いますかね?」
と聞く。が、「ここらで二十年釣っとるがバスが釣れたん見たことない」の一点張り。
「ですからタナゴです。タナゴ」と聞くと、「タナゴね?タナゴは水路よ。ほらあそこの」
私が、「でもせっかくなんで少しだけここで釣ってみますね」と言うと、
「二十年釣っとるがバスもタナゴも釣れたことないよ。おらんと思うよ。見たことないもの」
と言って笑う。笹ヶ瀬川の主にお礼と別れを告げて川岸に。竿をだしてみる。
竿をだすとものの3秒でヤリタナゴが釣れてくる。お~い。笹ヶ瀬川の主さ~ん。
どういうことですか。瞬殺じゃないですか。だっていないわけがない。
上の浅瀬を写した画像でわかるように、小さな稚魚が無数に泳いでいる。
おそらくヤリタナゴの稚魚だろう。
さらに続いて笹ヶ瀬川ではお初のシロヒレタビラが釣れ上がった。
なんだなんだ。シロヒレタビラまでいるじゃないですか。
「笹ヶ瀬川の主」とは何だったのか。さらにヤリタナゴが気持ち良く釣れてくる。
いいポイントを発見したもんだ。と、にやけ顔で釣る私。しかしここで、恐怖が訪れる。
川岸に立つ私の目の前の浅瀬をデカい蛇が泳ぎながら横切った。
竿とバケツを持ち一目散に逃げる私。暑さと恐怖で汗だくになる。
「これはあかんやつや」と独り言。私は三度の飯より長細い生き物が苦手だ。
もう怖くて川岸には戻れない。志半ばで竿を納める。
仕方がないので先日ヤリタナゴが釣れた笹ヶ瀬川の別のポイントにバイクを走らせる。
こちらのポイントはやや水量が多めだった。周囲を念入りに安全確認して釣る。
先日ヤリタナゴが群れていたポイントにエサを落としてみるもののアタリが大きい。
嫌な予感。強めの引き。ブルーギルが釣れてくる。昨秋以来の久々の再会だ。
「元気にしてたかブルー」なんて声をかけながらオーバーザレインボー。
一度ブルーが釣れ出すと連続でブルーばかりが釣れてしまう。
仕方ないので少し移動してポイントを変えてみる。浅瀬で微かにヒラ打ちを発見。
今度は打って変わってアタリが小さい。きっとバラタナゴだろう。
よし。今からはオカメ釣りの特訓だ。針を極たなごに変更。七発一中で狙う。
どうにかこうにかバラタナゴを何匹か釣り上げることに成功する。
七発一中どころか十五発一中くらいの確率。たまに小さいブルーも釣れてくる。
さらに小さなヤリタナゴも釣れる。しかし狙うはオカメ。四苦八苦しながら合わせる。
小さな小さな豆バラまで釣れてきた。うふふ。えへへ。笑いがこみ上げる。
私にしては上出来なオカメ釣りだった。なんとバラタナゴが7匹だ。
あとはシロヒレタビラ1匹とヤリタナゴが10匹ちょい。まあまあの釣果。
そして、本日の一等賞はブルーギル。なんと30匹以上だ。
難しいのだが、意外と楽しいオカメ釣り。ちょっとはまりそうだ。
ここらで終了。後片付けをする。周囲を確認。ヘルメットの中まで念入りに確認。
もし蛇が入ってたりしたら怖いですからね。いざ出発しようとしたら釣り人が。
「バス釣りですか?」と聞く。「ええ。笹ヶ瀬川がバスで有名だと聞きまして」
笹ヶ瀬川の主がいくらバスを見たことがなくても、笹ヶ瀬川はバス釣りの聖地だ。