二級釣り師が一級河川高梁川で釣りをしてみたら

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天気がすごく良かった。昨日流した涙のことはすっかり忘れており、釣りに出掛ける。

昨年のGWにタナゴ釣りを始めて、ちょうどその頃訪れたことがある酒津公園に調査に。

一年ぶりの酒津公園。水門があり、池に高梁川からの水が大量に流れ込む。

そしてこの池から倉敷市街地の用水路群に水が供給されているわけだ。

旭川でいうところの祇園用水の出発点に近い役割を持つ池だ。

 

釣りをしてる人がけっこうな数いらっしゃった。まずは親子連れに話しかけてみる。

「何が釣れてますか?」「まだ釣れてないんですよ。ブルーギルでも釣れればなと」

なるほど。釣ってる仕掛けをちらりと覗いてみる。ああ、これじゃあ無理だろう。

大きな針にエサのウインナーを丸ごと一本付けて釣っておられた。

「これじゃあカバかワニしか釣れませんよ。ブルーギルはもっと口が小さいです」

と教えてさしあげた。私はブルー水路の妖精と呼ばれた男だ。優しく指導する。

「ありがとうございます。なにぶん素人なもんで。上手な人に会えてよかったです」

とお礼を言われてしまった。なんだか恥ずかしい。

「いえいえ。上手くはないんです。二級なんですよ。こう見えて」「えっ?」

「ですから。二級なんです」「は・・はぁ」この親子に別れを告げてその場を離れる。

 

続いて酒津公園の主さんに話しかけてみた。「今年はタナゴは出てますか?」

この酒津公園の主さんはベテランの釣り師だ。毎日のように鯉を釣っておられる。

いろいろと詳しく説明してくれた。「今年は姿が見えんね。5月過ぎにゃあ無理かな」

とのこと。それでも今釣るとしたらとポイントを丁寧に教えて下さった。

竿をだしてはみたもののやはり渋い。早々に諦める。主さんに別れを告げ、場所を移動。

 

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酒津公園のすぐ横を一級河川高梁川が威風堂々と流れている。

昨日の今日で、舌の根の乾かぬ内に、一級河川に二級釣り師が釣りに行くのはどうか。

でも、せっかくだから行ってみよう。バレなきゃ大丈夫だろう。河川敷を目指す。

そういえば。先週、高梁川はロックダウンされていたはずだ。

でも今日見てみるとどこの河川敷も看板は投げ捨てられており車がたくさん止まっていた。

これぞ岡山県民。まあこうなりますわな。看板立てただけじゃあ岡山県民は誰も従わない。

河川敷を歩く。二級なのがバレないように胸を張って堂々と歩く。

 

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竿をだすと当然のようにアブラボテが釣れてくる。その後もアブラボテしか釣れない。

これじゃあ二級まるだしだ。さらに、運が悪いことにいきなり背後から話かけられた。

「釣れますか?」初老のおじさんだ。「少しですね」と答える。「何が釣れますか?」

困った。アブラボテしか釣れてない。二級なのがバレてしまう。一級ぽく答えなくては。

「タナキアリンバータが少しですね」「えっ何?外国の魚?」と怪訝そうなおじさん。

「タナキアリンバータ(tanakia limbata)日本ではアブラボテという名称で呼ばれてます」

「はぁ?」バケツを覗く。「この黒いのがランバダちゅうやつ?」と呟く。

そして、「まあ頑張って」と言いながら立ち去る初老のおじさん。

 

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口から心臓が飛び出るかと思った。なんとか凌げただろうか。

気を取り直して竿をだす。するとやっとのことでシロヒレタビラが釣れ上がった。

しかもオスだ。二級釣り師が高梁川の宝石を釣り上げたぞ。

後ろを振り返る。さっきの初老のおじさんの姿を探す。どこにも姿が無い。

「お~い。おじさ~ん」「さっきのおじさ~ん」「お~い。さっきの初老~」

彼が戻ってくることはなかった。本当にタイミングの悪いおじさんだ。

 

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二級釣り師の私はシロヒレタビラ1匹とタナキアリンバータを多数釣り上げた。

今日はこのへんで勘弁してやろう。ちょっと早めに竿を納める。

二級釣り師なのがバレないうちにそそくさと河川敷を離れる。

やはり、一級河川での釣りは精神的に疲れる。

明日は気楽に二級河川にでも調査に行ってみよう。そう思った。