高梁川が緊急疎開場所に指定されたようです
とても天気が良かった。あまりにも天気が良いのでついついタナゴ釣りに出掛けた。
バイクでツーリングがてら遠回りしながらのんびりと高梁川に向かう。
今、岡山県ではどこを走っても桜が満開だ。花見をしている人もちらほら見かける。
桜のトンネルをいくつも走り抜けて高梁川河川敷に。
高梁川河川敷はどこも人が多かった。家族連れや釣り人や犬と遊ぶ人など。
読書をしてる人までいらした。人が多いところはパス。空いた場所を探す。
高梁川河川敷を東西くるりと走って人が全く居ない場所を発見。バイクを止める。
さあ、貸し切り状態で釣りができそうだ。
竿をだすとさっそくアブラボテが顔を出す。彼らは高梁川ならばどこにでもいる。
その後もコンスタントにアブラボテが釣れてくる。いつもの高梁川の風景。
しばらく貸し切り状態で釣っていたのだが、近くに一台の車が止まった。
どうやら家族連れ。バーベキューかなんかをするらしくバタバタと準備を始めた。
こちらは順調にアブラボテを釣り上げ中。すると子供たちがこちらに走ってきた。
「釣りですか?釣れましたか?何が釣れるんですか?」騒がしい兄弟だ。
「小魚だよ」と答えながら釣りを続ける。その兄弟たちは私の傍で遊び始めた。
弟らしき少年が川岸でタニシを発見する。それを川に投げる。そして、
「ゴーゴゴー2号。タニシの沈没を確認。ゴーゴゴー2号。沈没を確認」と宣言。
どうやら兄がゴーゴゴー1号。弟がゴーゴゴー2号。と呼ばれているらしい。
ヘンな名前だ。1号2号ならまだしも5号なんか「ごーごごーごごう」になってしまう。
そんなことを考えていたら、なんと、ゴーゴゴー1号が川に棒を突っ込んで遊びだした。
やんわりと注意する私。おかまいなしに遊び続ける兄弟。話かたがどうやら関西人っぽい。
続けてゴーゴゴー1号が私が釣りをしているすぐ傍で、大きな石を川に投げ入れ、
「ゴーゴゴー1号。沈没を確認。ゴーゴゴー1号。戦艦の沈没を確認」と騒ぐ。
これにはさすがの私もブチ切れた。いきなり見ず知らずのおっさんに怒られ涙目の少年。
バーベキュー準備中の保護者のもとに逃げ帰っていった。そして保護者の、
「こらっ。ダメだろ」なんて叱る声が遠くから聞こえた。
おそらく叱った保護者がゴーゴゴー5号なのだろう。
それから彼らのおかげでぱったりとアタリがなくなってしまう。ボテすらも釣れない。
諦めようかと思っていたら心地良い引き。シロヒレタビラが釣れてくる。メスだ。
あれあれ?なんだ?なんて思いながら竿をだす。すると再びシロヒレタビラが釣れてくる。
これはもしや・・。ゴーゴゴー1号が投げ入れた石によってアブラボテの群れが逃げて、
投げ入れた場所にいたシロヒレタビラの群れがこちらにやってきたということでは。
さすがにそんな都合のいい現象は起きないだろうと思ったが、再び心地良い引き。
さらにシロヒレタビラが釣れてくる。全てメスだ。
結局、シロヒレタビラのメスが4匹連続で釣れてしまった。
これで満足したのでここらで終了。片づけをしていると再び兄弟たちがやってきた。
さっきあれだけ怒られたのに平気な顔して「釣れましたか?」なんて聞いてくる。
私が「大阪から来たの?」と聞くと、「そうやで。大阪はコロンが危ないから」と答える。
どうやら大阪で流行している新型ウイルスは「コロン」らしい。
私がバイクに向かうと、近くでバーベキューをしていたゴーゴゴー5号に挨拶された。
せっかくだから少し話をする。ゴーゴゴー5号さんは倉敷の人だということだった。
大阪の親戚から兄弟2人を預かっているんだそうだ。もちろんコロンの影響で。
「疎開させてるんですか?」と聞くと、「ええ。そういうことです」とおっしゃる。
「大阪だと危ないですけど、高梁川の河川敷とかなら安全だと思いまして」
なるほど。こういう時は田舎は強い。人が少ない河川敷などが無数にある。
帰る準備を整え、ヘルメットをかぶりバイクに跨りエンジンをかける。すると、
「さようなら~。お気をつけて~」とゴーゴゴー1号2号5号が手を振っていた。
こちらも手を振って別れた。最終的には素敵な一期一会となった。
帰り道。無性にサッポロポテトバーベキュー味が食べたくなってきた。
明日、買いに行こうと思っている。