足守川でタナゴ釣りしてたら出逢った不思議な少年
絶好の天気の中、タナゴ釣りに出掛けた。足守川に向かう。
まずは足守川本流で釣ってみる。水量はやや落ち着き、透明度もそこそこある。
魚影が見えるのでエサを流してみる。外道が多い。
粘っているとやっとタナゴが釣れだした。ヤリタナゴが多い。
本流なので型の良いヤリタナゴが釣れてくる。おまけでアブラボテも釣れた。
メスのカネヒラが2匹釣れたのだが、少しゴマが付いている。
高梁川水系は本流も用水路もカネヒラにあまりゴマは付いていない。
足守川本流や旭川水系ではゴマ付きの個体が多い。地域によって違いがある。
場所を移動する。足守川水系の用水路にやって来た。するとそこには先客が居た。
網を持って魚採りをしている少年だった。用水路脇を歩きながら何かをガサっている。
あまり害はなさそうなので竿をだすことにした。すると少年がこっちにやって来た。
「何を採ってるの?」と一応聞いてみる。
するとその少年は「ヘビです」と笑顔で答える。これが不思議な少年との出会いだった。
私はヘビが三度の飯より嫌いだ。というか細長い生き物全般に苦手だ。
ひょろっと細長い生き物はすべて気持ち悪い。ヘビは勿論のこと、赤虫さえ苦手だ。
あと、ヒル、大ミミズ、寄生虫、海釣りのエサ(画像検索注意)、毛虫、
ココリコ田中(画像検索注意)などなど、ひょろっと細長いだけで鳥肌が立つ。
その不思議な蛇少年は「生き物は全部好きなんです」と満面の笑顔だ。
不思議な蛇少年は魚も網で掬っているらしく、得意顔でアブラボテを見せてくれた。
少年に負けてはいられないので頑張って釣る。ヤリタナゴが気持ちよく釣れてくる。
すると、その不思議な蛇少年がまた近くにやって来て、おもむろに水路に網を入れる。
私の釣ってる目と鼻の先に網を入れる。当然タナゴたちは逃げてしまう。
その少年には悪気は全く無いようで、またひょこひょこっと向うへ行く。
どうしたものかと考えた。この蛇少年を用水路に突き落とすことも頭をよぎった。
しかし、蛇少年の父親が出てきて、しかもどこかの組織の組長だったりしたら大変だ。
釣り糸でぐるぐる巻きにされて、口にグルテンを詰められ、足守川に沈められたら・・。
そんなことを想像したら何も言えなくなった。黙って釣りを続ける。
その不思議な蛇少年は5回ほど私の目の前に網を入れた。引きつった顔で釣りを続ける私。
最終的には2メートルくらいある土管を私の目の前に沈めだした。
恐る恐る、「何をしてるの?」と聞いてみた。
少年は「これは仕掛けだと思うんです。魚が入るかもしれませんよ」と笑顔で答える。
明らかにただの土管だし、上海大鯰くらいしか入らない大きさなのだが、
組長のお父さんがでてきたら怖いので、「すごいね」と答えておいた。
その土管を沈めた直後、その不思議な蛇少年は、丁寧に、
「ここらで時間切れとなります。お先に失礼とさせていただきます」
と挨拶をして、自転車に颯爽と跨り、帰っていった。
不思議だ。とても不思議な少年だった。
言葉づかいなどはすごく丁寧なのだが、釣り場を荒らすだけ荒らして帰っていった。
おかげで釣果は従来の三分の一くらいになってしまっただろうか。
ヤリタナゴ、カネヒラ、アブラボテなどが釣れた。
どうでもいいが、あの土管はどうするのだろうか?明日にでも見に来るのだろうか?
もし明日、蛇少年があの土管を引き上げて、中に大量の上海大鯰が入っていたら、
彼の勝ちだ。