GW最後の釣行で出会ったタナゴ釣り名人
ゴールデンウイーク最終日、当然ようにタナゴ釣りに出掛けた。
総社方面に。確実に釣れそうな場所に行ってみる。足守川水系の細水路。
ヤリタナゴが多い水路だ。ヤリタナゴの赤に癒されよう。
二時間ほど気持ち良く釣ってGWを締めくくりたい。
竿をだすとさっそく釣れてきたのはアブラボテだ。連続で4匹ほど釣れた。
やや場所を移動してちらりと見える赤色のやつを狙う。
やっとヤリタナゴが釣れ出した。一度釣れ出すとコンスタントにヤリタナゴが釣れてくる。
まったりと釣りを楽しんでいると、一台のカブがぽこぽこと走ってきて、近くに止まった。
「タナゴ釣りね?」といきなり話しかけられる。年配のおじさん。「そうです」と答える。
「シロヒレはあがっとるかね?」と続けて聞かれた。ちょうど直前にメスが釣れていたので、
「メスだけですね」と答えると、「カネヒラはあがってないかね?」と質問された。
そういえば昨秋以来カネヒラには出会えていない。幼魚が釣れ出すには早いし、
「まだじゃないですかねカネヒラは。大人はあまり見ないですよ」と答えた。
その年配のおじさんはカネヒラが好きらしく、川に様子を見に来たとこらしい。
そこで偶然タナゴ釣りをしている私を発見して話しかけてきたのだそうな。
私の横に座り、私の釣ってる姿を楽しそうに見ながら、カネヒラの話をいろいろとする。
ここで嘘みたいな偶然。ヤリでもシロヒレでもないメスが釣れ上がった。
「カネヒラのメスじゃね。カネヒラもあがったか」とおじさんが即座に呟く。
なんと昨秋以来姿を見せなかったカネヒラがこのタイミングで釣れてしまう。
久々の再会なのでカネヒラとシロヒレタビラを並べて写真をパシャリ。
驚いたシロヒレが卵を出してしまう。逃がす前に悪いことをしてしまった。暫し反省。
その年配のおじさんは私の横で、私の釣ってる姿を楽しそうに見ながら、ウキが沈む度に、
「そこ。さっきのクッの時に合わせにゃおえんよ。次のククッを待っちゃおえんよ」
と笑う。どうやら一瞬で私が二級釣り師なのを見抜いてしまったようだ。
それもそのはず。いろいろとお話を聞くと、謙遜はしてるがどうやらガチの名人らしい。
もう数十年もタナゴ釣りをしてらっしゃる。しかもこの名人のその上の師匠がまた凄い。
大昔にタナゴ釣りの本を出版した人が、この名人の師匠なんだそうな。もう別格の存在。
凄い人に出会ってしまった。いろいろとタナゴの話で盛り上がる。
「そこ。クッで合わせてみて」なんて指導されるが、なかなか上手くはいかない。
「難しいですね。竿をお貸しするので、やってみてもらえます?」と私が言うと。
「おおものを言うてしもうたからのう。これで針に掛からんかったら恥ずかしいからのう。
それだけはこれえてつかあさいや」と照れながら笑う。
「でも、その最初のクッで合わせれたら、今よりもっと釣れるようになるよ」
と励まされた。
かれこれ一時間以上いろんなタナゴの話を聞かせていただいた。
私と名人のまったく共通している釣り場が複数あることが判明したので、いつかの週末に、
そのいずれかの場所で偶然に再会いたしましょう、と約束してお互い帰路についた。
GW最終日にとびきり素敵な出会いがあった。
この名人が出会いから終始言い続けていたことがある。
「エサは黄身練りが一番釣れるよ」
巷でグルテン王子と呼ばれている私は、生涯グルテン一筋を貫こうと思っていた。
今、心が揺らいでいる。ならばマルキューの黄身練りをアマゾンで注文するべきか?
またマルキューとアマゾンを儲けさせてしまいそうだ。
きっとこの二社の売り上げは私が支えている。