芦田川タナゴ釣行記 2020 秋 ~迷走編~
夏の終わりに芦田川で釣りをして、秋になって早々に再び芦田川を訪れるバカな釣り人。
秋が深まるとカネヒラが移動してしまうので早い方がよかろう。そう思った。
先週の台風襲来前のこと。クルマで駐車場のあるウエーイ系の多い例の場所へ到着。
地元の読者様からの情報で「ヤンキー対策は必要無し」とのこと。
しかし、念には念を入れて、財布の中身調整だけはやっておいた。準備万端だ。
前回同様ウエーイ系が多い。目立たぬようにこっそりと護岸を歩き魚影を探す。
前回調査した辺りまで歩くが魚影らしい魚影は見えない。一抹の不安がよぎる。
仕方がないのでまさに今、ウエーイ系が背後でワイワイやっている岩場で釣る。
通称「ウエーイポイント」。竿をだすがなかなかアタリが無い。
アタリさえ無く、心も折れかける。背後からは楽しそうな笑い声が響く。完全に浮いている。
ウエーイポイントではこれが逆に目立つのではなかろうか?郷に入っては郷に従えだ。
いわゆる同化というやつ。同化してウエーイ系に溶け込む作戦だ。餌を針に付ける。
「黄身練りポンポ~ン。キュモ~ンカネヒラ~。キュモ~ンエブリバデ~」
いい感じだ。完全にウエーイ系に溶け込んでいる。
そんな時アタリがあった。合わせて竿を上げる。カネヒラが釣れてくる。
「カネヒラポンポンポ~ン。ウエ~イ。カネヒラパ~リィナ~イ」
同化作戦は成功した。しかし、以降全くアタリが無くなった。何をやってるんだ私は。
バケツを抱えて少し移動する。背後に駐車場がある岩場で釣る。
こちらはこちらで駐車場に続々と、ラップ系の音楽を大音量で流すクルマがやって来る。
しかも困ったことに背後の彼らとの距離が近い。少し怖い。おまけにアタリも無い。
苦手な系統の人たちだ。だが致し方ない。再び同化作戦をとる。
ラップ系とかヒップホップ系とかいう別世界。よくは知らないが韻を踏むといいらしい。
「YOYO!好きなサカナはシロヒレタビラ。開くぜタナゴ釣りの新しいトビラ。
お前の彼女の臭いビラビ・・」最後の言葉だけは慌てて飲み込んだ。
これじゃ同化ではなく挑発。背後に気まずい空気が流れる。
タイリクバラタナゴのメスが1匹釣れてきたのだが、もはやそれどころではない。
急ぎ竿を納め片付けを始める。片付けながら、私がちょっと怖い人であることを歌に乗せる。
「俺は福山生まれ HIPHOP育ち 悪そうな奴は大体友達」
「俺は福山生まれ グルテン育ち コウライモロコは大体友達」
無事にクルマに辿り着く。急いで出発。対岸へ橋を渡る。地元の読者様情報にこうある。
「対岸まではウエーイ系たちはついて来ない。彼らは橋を渡らない習性をもっている」
対岸に無事到着。しかしこちら側には駐車スペースが無い。迷走する。
やや下流部に駐車場を発見。ただその入り口が異様に狭い。クルマ1台がぎりぎりの狭さ。
バンパーをこすりながら駐車場に入る。行ってみたい場所まではかなりの距離がある。
カネヒラ1匹とバラ1匹のバケツを抱えてトボトボと歩く。
数百メートル歩いた所に水路の流れ込みがあった。歩き疲れたのでここで竿をだしてみる。
竿をだすと早速アタリはあった。ただ連続で外道が釣れてしまう。
粘っているとタナゴっぽい引き。お初のヤリタナゴがあがってきた。
「おったんかわれ~。ヤリタナゴポンポンポ~ン」と思わず声が出る。
が、こちら側は周りに人っ子一人いない。ウエーイ系もいない。貸し切り状態だ。
静かに釣る。まったりとした時間が流れる。カネヒラが気持ち良く釣れ出した。
ここまでの釣果だ。カネヒラに、お初のヤリタナゴ、お初のタイリクバラタナゴ。
芦田川にもちゃんと各種タナゴたちが生息していた。
というかこの芦田川西岸はなかなか良さそうだ。これも地元の読者様の情報に感謝だ。
ここでバケツの中をリリース。身軽な状態で次の場所に向かう。
私が地図で見て最も行ってみたかった場所へ、再び歩く。ひたすらトボトボと歩く。
さらに数百メートル上流へ。何が釣り人を待ち受けているのか。
後編につづく。